陣出達朗「尼判官魔鏡裁き」が面白かった

先日木魚庵さんに雑誌「探偵クラブ」創刊号をいただきました。

Xには女性がちょっとセクシーな装いなので上半分だけ載せました。
捕物と探偵小説とあるけれどぱらっと見たところエロティックな話が多いです。
表紙めくったらヌードグラビアだったり。

くださった理由はおサルの話が載っていたから。
「エロチックスリラー」とか妖美スリラーとあったけれどスリラーの定義とはな気持ちです。
全体的にエロティックさが胸焼けしそうで一冊すべては読み切っていないのですが、目次を見て興味をひかれて読んでみて面白かったのが陣出達朗「尼判官魔鏡裁き」でした。

(表紙には「女奉行~」とあるなあ)

舞台は鎌倉・東慶寺
開創は弘安8年(1285年)北条時宗の妻であった潮音院殿覚山志道尼が世の不幸な妻女救済のためにこの寺を開いて駆入り寺としました。
その後も後醍醐天皇の皇女、豊臣秀頼の娘などが庵主となって天保中期には十一代将軍徳川家斉の公女・智姫が得度して智月尼となり、縁切りのちからはますます高まったといいます。

智月尼は剃髪した尼ですが、朝夕の勤行は一度もせずに侍女の霞と梢と共に暇さえあれば武芸の稽古に励んでいます。
霞は三節棍、梢は打根(短い矢先に短い槍の穂先がついていてそれに細長い紐が結んであった投げて射て紐を引いてまた投げてというもの)を、そして智月尼は琉球から献上されたヌンチャクを武器とします。

離縁を望む女は寺に入り、白洲の間で智月尼が取り調べます。
女たちの事情によっては三人は寺を抜け出し、変装してある時は江戸、ある時は駿府、またある時は京都へと飛んで女たちの情報を探り、夫に離縁状を出させ、女を自由にさせます。

今作では江戸室町の太物商・武蔵屋幸吉の妻おりんが理由を言わずに「離縁状を取ってください」としか言わないので三人は江戸に向かいます。
侍女ふたりは有髪ですが智月尼は剃髪しているので鬘を付けて若衆に扮します。

江戸では浅草鳥越に梢の兄・朝風勘五郎が一家を構えているのでそこを根城にしています。
そこに居候の凡さんという浪人風の男が絡んできます。
実は彼は若年寄・京極周防守の弟の新八郎。家斉の小姓をつとめていて、城内に忍び込んだ凶漢から家斉の危機を救ったことがあります。
家斉は望みのものを与えようというので新八郎は智姫を所望。家斉も承知で一万石くらい与えて大名に引き立ててそれから姫を下しおくつもりでいました。
ですがそれを知った智姫は「一生をひとりで暮らします」と東慶寺に入り、世の弱い女の強い味方となろうと誓います。

そして三人+凡さんの活躍でおりんの事情がわかり、悪者との立ち回り。
三人の武器が刀や薙刀ではないのはコンパクトに持ち運べるからですね。

琉球のヌンチャクってこういうの???

クライマックスは智月尼が懐から鏡を出します。
光線を反射して壁に葵のご紋が浮かび、侍女ふたりが
「控えなさい!ここにおいでのお方は将軍家のおン公女」
「いまは鎌倉、東慶寺の庵主、智月さまであらせられるぞ」
と声高らかに言い放つと悪者は平蜘蛛のように手をつかえます。
最後は一件落着。

徳川家斉は史実では53人の子女を持ちますが成年するまで存命だったのは28人でした。
この話では智姫の母はお久米の方。Wikipedeiaにはもちろん母子の名はありませんがまあそれはそれで。

識者から聞いた話では「探偵クラブ」は創刊号しか発行されませんでした。
智月尼ものはシリーズを想定していたと思われますがこの話だけだったのでしょうか。
凡さんこと新八郎との間柄はどうなっていくのかとか、美少女アクションバトルとして盛り上がりそうでしたが「探偵クラブ」のアダルティな雰囲気にはあっていたのかとか気になるところです。

発行は昭和50年(1975年)5月。
中島河太郎氏のコラムに「横溝正史が十数年ぶりに800枚の長編を完成」とあったのは「仮面舞踏会」ですね。

そして探偵クラブで検索したら古本屋ツアー・イン・ジャパンさんの記事が。
コバルト社ってそういうところ???

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