不死身の男が人里離れた地で黄金を求めながら軍と戦う映画を2本観ました。
漫画「ゴールデンカムイ」が大好きです。
実写映画を見てものすごくあっ!となったことがあるのですが、公式ではまだ公開されていないのでここで語ります。
※実写映画、原作漫画(完結済み)、アニメ版すべてのネタバレを含みます。
※原作の結末や登場人物の生死については触れていません。
ゴールデンカムイ実写化の話を聞いたときは正直「え~(低いテンション)」でした。
杉元とアシリパのキャストを知った時も正直「え~(低いテンション)」でした。
でも映画館で見た予告編や掲示されたポスターを見て、まあ観てみるかと思いました。
実際に見て、とても面白かったです。「え~」と思っていて申し訳なかったです!
キャストが原作をそっくりそのまま再現しているわけではありません。
それでも違和感はなく、杉元が、アシリパが、鶴見中尉がスクリーンにいました。
(ただ…上映前に「あぶない刑事」の予告編をやっていたせいで舘ひろしは土方というよりは舘ひろしだなと思えてしまいました…かっこよかったですけれどね)
映画化について不安だったのは「不必要に特定のキャラクターを前面に出すこと」「不必要に恋愛要素を入れること」「オリジナルキャラクターの投入」でした。
それらはなく、原作の物語をそっくりそのままなぞるのではなく、少々順番を入れ替えながらも「不死身の杉元」をはじめとした面々の物語となっていました。
牛山の女郎ぶん投げとか杉元VS二階堂兄弟の椅子バトルとか再現されているのすごい。
キャストですごい!と思ったのは玉木宏演じる鶴見中尉!
そして栁俊太郎演じる二階堂兄弟(二役)!
栁俊太郎はNHK版「獄門島」の鵜飼や「百日紅の下にて」の川地のような美少年キャラクターを演じてきた人なのに、クレイジーな二階堂を演じていました!
今回の映画ではコミックス3巻収録の20話。杉元・アシリパ・白石がトリオとなって桜鍋を食べ、アシリパが「オソマおいしい」と言うところ。そして土方と永倉が合流する「あんたら…ただの金塊目当てじゃないな?」までです。
そこから今回はやられ役だった尾形や谷垣が。そして二瓶、辺見、家永、インカラマッ、キロランケと思われる人物が登場し、これまでの話はまだほんの序章で、これから黄金争奪戦が始まるというエンディングでした。
刺青囚人たちのイメージショットに髪の長い男がいたように思えたので、彼が海賊房太郎だとしたら登場はかなり後の方です。
むしろそこまでやるのなら完結まで映像化してほしい。
コミックス31巻をこのペースでやるのなら10年かかるぞ。
…ということでアシリパ役は子役ではなかったのかという意見を見てなるほどと思いました。
私の推しは家永カノなのです。一瞬だけど登場して嬉しい!
映画を観た人には「出たね」と言われましたが出たのですよ。
次回があるとして、最後にはみんな大好き鯉登少尉がちらりと登場してさらにその次への期待を!となるのではないかと思うのです。
ただ尾形や土方の出番を後回しにするとして、二瓶の話、辺見の話、ホテルの話、競馬の話をそれぞれ30分程度で収めることができるのか?
…ホテルの話、配信スピンオフでじっくりやりませんかね…
しかしどうしても尺とレーティングの都合というものがあるだろうから漫画のすべてが映像化されることはないと思います。
温泉バトルとかラッコ鍋とかバーニャとか…どうなんだろ…
アニメでは茨戸の用心棒の話、白石の恋の話、親分と姫の話、問題作の姉畑の話等はOVAとしてコミックス限定版同梱となりました。
アニメは「描写はされていないが原作で起きたことはあった」という前提で稲妻蝮夫婦は登場しなかったけれどフチが突然赤ん坊を育てたりしていました。
姉畑は無理だろうけれど、存在自体が放送禁止になりそうな宇佐美は出てくるんですかね…
ロケ的な意味で樺太編はあるんですかね…もし樺太行かなかったらソフィアやヴァシリはどうなるのか。
そしてみんな見たいであろうサーカスの話はどうなるのか?
ゴールデンカムイを見る数日前に池袋・新文芸坐の岡本喜八特集で映画を観てきました。
(このことは後日書きたいです)
そこで観たフィンランド映画「SISU/シス 不死身の男」の予告編がとても面白そう。
不死身の老人が愛犬を連れてツルハシ一本でナチスと戦う話らしい。
というわけで見てきました。
予告編で見たものとだいたい同じ。ただ武器はツルハシだけではなくその時手近にあるものはいろいろ使っていました。
内容はこんな感じです。
1944年、ソ連に侵攻され、ナチス・ドイツに国家を焼かれたフィンランドが舞台。
老人がひとり荒野で金塊を掘り当てた。
それを持って馬で街に向かう途中でナチスの戦車とすれ違う。
行き先にはもう街はない。俺たちが焼いたからと言われる。
それでも進んでいくと地雷が仕掛けてあり馬は爆死。
散乱した荷物からは金がこぼれ、ナチスの後続隊はそれを奪おうとする。
戦いが始まる。
老人が落とした認識票から彼はかつてソ連軍に家族を殺され、報復として300人のソ連兵を殺した男、アアタミ・コルピであることがわかる。軍は彼に手出しは無用というがブルーノ中尉率いる戦車隊はコルピを追う。
トラックには6人の捕虜の女性が乗せられていた。彼女たちが同行させられている理由は察しがつく。
ナチスは持っていた地雷すべてを仕掛けていた。戦車隊よりも先に部下に先導を強制する。こわごわ進んでいった彼は地雷で爆死する。
ブルーノは女性のふたりの腰をロープで繋いで歩かせ、安全を確認した上で進んでいく。これは後で語られるが、ブルーノは戦争が長くは続かないことも、ドイツに勝ち目はないことも感じ取っていた。だから残された時間を酒と女で楽しみたい。
SISUとはフィンランドの言葉で翻訳は難しいが「絶対に折れない心」というニュアンスらしい。
コルピは傷を負い、泥だらけになっても、進み続ける。
不死身の男とナチス軍、最後に勝つのはどちらか?
血なまぐさい映画の癒しとなるのはコルピが連れた犬のウッコ。
演じる犬のスーロはコルピ役のヨルマ・トンミラの実際の愛犬とのこと。
パンフ表紙がネタバレしていますが、虐げられていた女性たちの逆襲もかっこよかったです!